細野不二彦

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ヤミの乱破 第02巻 P209
細野不二彦

支配人を救い出そうって言うのか。
それほどもみの木が大切なら、
あなたたちこそ、あの木と心中でもしなさいよ。

な、なんだと?
私たちが毎日白い米やパンが食べられて、
アメリカの缶詰や酒が簡単に手に入って、
そうやって、まっとうな服を着て暮らせるのはどうして?
それもこれもみーーんなアメリカのおかげ、
たまたま運良くアーニーパイルに潜り込めたおかげじゃない。
田舎は知らずこんな恵まれた日本人が東京のどこにいるの?
たいていは貧しい配給や買い出しや闇市で何とか食いつないでいるはずだし、
劇場のすぐ近くでも乞食や浮浪者やパンパンがいつもうろついているじゃない。
あの人達にとっちゃ木を切るの切らないのなんて別世界の話でしょうよ。
戦争中の兵隊さんや空襲で殺された人たちはもっと惨めだった、
惨めな暮らしの中で死んでいったわ、
うっ・・・
私はいつも自分が後ろめたいのよ。
いつもいい暮らしをしてごめんなさいって心の中でいってる。
たまたま自分だけ生き残って自分だけいい思いをしてごめんなさいって謝っている。
でも、この生活は手放したくない。
二度とあんな惨めな生活に戻りたくもない、
だけど・・すごく後ろめたい。
あなたたちは全然感じないの?
目には見えなくても足下にはたくさんの死体が転がっているのに、
”心の癒し”だの
”もののあわれ”だのと
今度はこの上気持ちまで満腹にしないといけないの?
幸せはまだ足りてないって言うの?
もみの木一本伐ることで心が痛むなら
いっそ痛めばいい!苦しめばいい!

私はせめて、その傷の百万個も千万個も抱えて生きてゆきたい!!


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